【30分に1本】大阪市内のローカル線、南海汐見橋線に乗ってきた 2020/9/28②
大阪のミナミの繁華街、難波と和歌山県を結ぶ南海電車。和歌山市内へ至る本線と高野山へ至る高野線の二つの系統があります。前回、南海高野線を利用して高野山観光するという記事を投稿しましたが、そんな観光路線としての高野線とはまた異なった姿に迫ります。
まだ高野山観光の記事をご覧になっていない方はぜひご覧ください。
miyakoji-cityliner.hatenablog.com
目次
南海高野線の始発駅はなんばじゃない⁈
なんば駅。そこは南海電車のターミナル駅で、毎時沢山の列車が発車していきます。
和歌山市内へ至る南海本線以外にも高野山方面への高野線の列車もこのなんば駅を発着します。
ところが、南海高野線の始発駅は難波ではないことをご存じでしょうか?ここまで聞いて、南海のことに詳しい方なら南海本線と高野線が分岐する岸里玉出駅なんじゃないの?と思われるかもしれませんが、それも不正解。でも、岸里玉出駅にヒントがあります。
岸里玉出駅を発着する汐見橋線
難波駅から約6分。南海本線から高野線が分岐する岸里玉出駅に到着します。ここからは高野線だけでなく、大阪市内浪速区にある汐見橋駅に至る路線、通称汐見橋線が分岐しています。
通称としたのはこの路線の正式名称は高野線だから。ホーム上の番線表示を見ると緑色の高野線仕様の物です。
そう、この汐見橋線こそが、高野線の起点へ至る路線ということになります。
汐見橋線で使用されるのは2200系電車。「天空」に使用される車両と同じ形式の車両になります。「天空」の方は大規模な改装工事が施されていますが…。
2200系電車について軽く復習しておくと、かつて高野山へ至る急行列車に使用されていた22000系電車を改造した車両。現在では2230系と共に支線区間で活躍している車両です。
9分で終点、汐見橋駅に到着
岸里玉出駅から汐見橋駅までの所要時間は9分。私が乗車したのは平日の夕方。黄昏時の大阪市内を会社帰りのサラリーマンたちを乗せて走ります。夕ラッシュの時間にあたる時間ですが、混雑と言った様子はなく椅子が大体埋まる程度。立客はいませんでした。大阪の下町の風景の中をゆったりと駆け抜けていきます。
高野山への玄関口であった汐見橋駅
汐見橋駅は1900年に高野鉄道が大小路駅(現在の堺東駅)から延伸した際の終着駅にあたる道頓堀駅として開業しました。1901年には汐見橋駅に改称され、それ以来120年に渡って汐見橋駅として人びとに利用されてきたわけです。高野鉄道は高野山への参拝を目的として建設された路線ですから、汐見橋駅は高野山への玄関口ということになります。
ところが、この汐見橋駅に大きな変化が生じたのは1985年の大阪市の立体交差事業。立体交差事業の実施後は線路が分断されたため直接高野線本線に乗り入れることが不可能となり、それ以後高野線本線は難波駅から岸里玉出駅まで南海本線を経由して極楽橋に乗り入れる列車のみとなりました。このためこの汐見橋駅から岸里玉出駅までの区間運転の列車だけとなりました。
汐見橋駅のホームは1面2線の島式ホームですが、かつては貨物専用ヤードまであったとか。かつての繁栄ぶりを思わせます。現在の南海では貨物扱いは消滅しています。
駅舎は日没後でしたのであまりよくみることができませんでしたが、鉄筋コンクリートの無機質な駅舎。高野山へのターミナル駅とは思えないほどの無機質っぷりですが、要所要所に古さを感じさせてくれます。
駅舎内の第一印象は屋根が想像以上に非常に高いということです。自動改札の上には昭和30年代の名所案内の地図がごく最近まで残っていたということですが、老朽化により撤去されてしまったということでした。
ターミナル駅だというだけあって、これから旅に行くぞという気分にさせてくれているように感じるのは私だけでしょうか?ま、このときは高野山からの帰り道でしたので、帰ってきたという安心感さえ与えてくれていたように感じたのですが。
今後どうなる⁉汐見橋線の未来
新大阪駅とJR難波駅や南海の新今宮駅を結ぶ「なにわ筋線」計画での、構想当初の南海との接続駅はこの汐見橋駅の予定でした。それによると、汐見橋線の木津川駅~汐見橋駅間が地下化され、汐見橋駅の北側で東に曲がってなにわ筋の地下へ至ることになっていました。南海のターミナル駅として久々に活躍する未来に期待されましたが、接続駅が新今宮駅に変更されたことにより、汐見橋線自体の存続が危ぶまれています。しかし、2018年には南海側から廃止の計画はないとの発表があり、沿線の活性化も試みられていることから、汐見橋線の未来に注目していきたいですね。
大阪の下町の風景を今に残す汐見橋線。機会があればぜひ乗車してみてください。