鉄道ファンが行くお出かけ雑記

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近鉄の観光特急「しまかぜ」に乗ってきた 2020/11/22-23 伊勢志摩 特別編集版

※本文中の情報は取材日のものです。できるだけ最新の情報に更新するよう努めてまいりますが、お出かけの際には各自で最新情報をお調べいただきますようお願い申し上げます。

 4面4線のホームを有する近鉄京都駅。新幹線の改札口の向かいに設けられた改札口を入ると京都駅を発着する近鉄の車両たちが目に入る。京都駅は小規模ながらも頭端式でターミナル駅の雰囲気を十分に持ち合わせている。

 近鉄特急と言えばオレンジに紺色の帯、正確にはアスカオレンジにネイビーブルーの帯をまとった姿を連想するが、近年、クリスタルホワイトをベースにブライトイエローとゴールドを加えた新塗装への塗り替えが進み、旧塗装を維持しているのは2021年の春で引退を予定している12200系のみとなっている。

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12200系電車

 そんな近鉄特急の中に、一風変わった、どちらかと言えば青い特急車両が存在する。それが50000系「しまかぜ」である。

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50000系電車「しまかぜ」

 京都駅には9:35ごろに入線。10:00発車であるからかなり余裕を持った入線である。

 入線後すぐ車内に入ることはできないので、「しまかぜ」の乗客たちは写真を撮ったりしてそのひとときを過ごす。

 

 発車の10分前になったころであろうか、ドアが開き乗客は車内に乗り込んでいく。私もそのなかに紛れて乗り込む。

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しまかぜの車内

 私が指定されたのは6号車1Bと1C。同行者と2人での乗車だ。席番からも分かる通り、編成の一番後ろの座席である。本当は前面展望狙いで一番前の座席を確保したかったところだが、1ヶ月前の切符の発売に合わせて並んでも押さえることができず、第二希望の一番後ろとなった。それでも座席を回転させることで流れゆく車窓を楽しむことが出来る。

 座席の回転についてだが、一般的なペダルを踏んで回転させる方式ではなく、座席後部にあるボタンを押してから手動で回転させる仕組みになっている。

 

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しまかぜのプレミアムシート

 座席は電動のリクライニングシートで、スイッチはヒジ置きの下についている。また、電動のレッグレストも装備されているので、リクライニングを全開にしレッグレストも使うとまるでソファに座っているような感触だ。背もたれには硬さを調節できるランバーサポートがついている。このランバーサポートにはリズムがついているので、まるでマッサージチェアとしての役割もある。

 シートピッチ、シートの間隔ともに私が感じた中では過去最高の広さだ。本当に贅沢な気分だ。

 

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運転台

 私は一番後ろの座席となったが、一番前に座れば運転士がしまかぜを運転する様子も合わせて楽しむことができる。機会があればぜひ一番前にも座ってみたいものだ。

 


しまかぜ 背面展望 近鉄京都駅発車風景

 発車すると更にしまかぜのプレミアムシートの凄さが感じられる。眺望に優れた前面窓から流れる景色を楽しみながら、超快適なプレミアムシートに座ることができるのはなんと贅沢なのだろうか。台車にはフルアクティブサスペンションが装備されている。本当に電車に乗っているのか疑ってしまうほど揺れない。快適な椅子に座りながら、録画された景色の映像を見ているようだ。

 


しまかぜ 背面展望 澱川橋梁を渡る

 流れる景色も普段よく乗る近鉄京都線の景色。京都駅の頭端式のホームが後ろへ流れていく光景、高架を走る風景、駅を通過する風景、鉄橋を渡る風景などなど...。なじみのある景色だが、しまかぜの車内から見るとまたそれが違ってみえる。目線が違うというのもあるが、しまかぜの快適な車内から見るというのは、いつもに増して素晴らしいように思えてくる。

 

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しまかぜ特製のおしぼりと乗車記念証

 発車してしばらくすると車内販売などを担当する女性乗務員からおしぼりと乗車記念証が渡された。おしぼりはほかほかである。近鉄特急と言えばおしぼりサービスをイメージされる方も多いと思うが、その文化はしまかぜにしっかりと引き継がれているようだ。

 記念乗車証は2020年限定の物。毎年乗車していると毎年異なるデザインの記念乗車証がもらえる。

 

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裏面には乗車日の入ったスタンプが押される

 コロナ対策の関係からか乗車記念スタンプは既に押されているものが渡された。

 

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エスサイダー

 車内販売ではしまかぜ限定のお土産や伊勢名物の赤福、コーヒーなどのドリンクなどを購入することができる。車内販売が減少する今、車内販売を提供しているというのは大変貴重な存在である。近鉄特急の伝統と新しい革新の文化。それをうまく融合して近鉄特急らしいような、らしくないような新しいけど馴染のある特急に仕上がっているような気がする。

 ちなみに私はご当地サイダーをたくさん飲んでいるからか、迷いなくサイダーを注文した。

 


しまかぜ 背面展望 大和西大寺駅

 そんなこんなしているうちに列車は京都線の終点、大和西大寺駅に到着。大和西大寺駅と言えば、奈良線京都線橿原線の三つの路線が集まる近鉄でも有数の拠点駅であり、また西大寺検車区に出入りする線路もあることから複雑な線路配置になっていることも特徴だ。しまかぜの後ろ側の大きな窓からはそんな複雑に転線していく様子を臨場感たっぷりに楽しんだ。

 


しまかぜ 背面展望 新ノ口短絡線

 大和西大寺駅からは橿原線となる。橿原神宮前へ至る路線だ。途中の新ノ口駅で新ノ口短絡線へと分岐していく。この新ノ口短絡線は京伊特急(京都と伊勢方面を結ぶ特急)などでしか通過することができない貴重な路線だ。全線が単線で住宅街の中をゆっくりと走行する。カーブも多く、京都線橿原線とはまた違ったテイストが魅力だ。

 

 新ノ口短絡線を抜けると大阪線と合流し、大和八木駅に到着。大和八木駅には数分後に大阪難波発のしまかぜもやってくるので、乗り間違えに注意するような案内がされていた。それもそのはず、大和八木駅を出ると次は伊勢市まで停車しないからだ。しかも、座席は満席。乗り間違えると折角しまかぜの指定席を確保したのにもかかわらず、伊勢市まで立ちっぱなしということになってしまう。

 

 大阪線に入ると、風景が一変する。しばらくは高架線を走行しているが、少しずつ山間部へ。近鉄で最急勾配の33.3‰がある区間や青山トンネルを抜けると、そこはもう三重県の伊勢地方ということになる。このあたりでは京都線橿原線とはまた違う高速での走りを体感することができる。

 

 伊勢中川から山田線に乗り入れる。しばらくすると伊勢市、宇治山田と到着する。この頃になるとカフェカーが空いているのではと思い、昼食を取るためカフェカーに移動した。

 しまかぜの利用客は一番大和八木と伊勢市の間が一番混雑する。そのため、カフェカーの利用客も多く席に座るために並ばないといけないのではと考え、伊勢市発車後にカフェカーに行くこととした。実際、乗車前にブログなどで確認してみるとカフェカーが混雑していたので並ばなければならなかったという記事をいくつか拝見した。自分の座席は超快適なプレミアムシート。カフェカーのために並んでいては勿体ない。極力ならばないようにするためにはと考え、このタイミングを選択した。実際、この選択は正しく、カフェカーはかなり空いていた。自分たち以外に2組ほどの利用があっただけだった。コロナ禍の今、感染症対策で座席の数が減らされていたので、いつもに増して混雑が激しくなっていたことだろう。そこで、混雑を避けたタイミングでのカフェカー利用と言うのは必要不可欠である。ただし、ラストオーダーの時間が決められているので注意しておくこと。

 ちなみに個室ではカフェカーで提供される食事をカフェカーに行かなくても食べることができるほか、「海の幸ピラフ」はプラスチック製容器に入れてもらうことで座席に持ち帰って食べることもできるようだ。

 

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海の幸ピラフ

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松坂牛御膳

 カフェカーにて海の幸ピラフと松坂牛御膳を注文し、同行者と分け合った(同行者というのは家族)。特に海の幸ピラフは大人気メニューで我々の注文で売り切れたようだ。それもそのはず、伊勢名物の伊勢エビなど伊勢で捕れた海産物をふんだんに使用している。一方の松坂牛御膳は松阪牛を使用した牛丼だが、そのお肉の柔らかさと味は今でも思い出すとよだれが出てきそうである。

 現在ではほぼ消滅してしまったと言っても良い食堂車、近鉄ではスナックコーナーと呼んでいたようだが、かつては一般的だったものが消滅により観光特急での非日常として味わうことができる。おしぼりにしてもしかり、近鉄らしさと新しさがうまい具合に調和している気がする。

 

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洋風個室

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和風個室

 カフェカーから戻る際、個室の方が既に下車されており、個室内を覗くことができた。個室はかなり人気が高く、3人以上で利用が可能となる。洋風個室と和風個室の二種類があるが、和風個室の方が人気が高いのだとか。

 

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サロン席

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サロン席

 サロン席も設置されている。欧州の列車のような雰囲気のコンパートメントタイプの座席となる。このサロン席は4人以上で利用でき、個室料金などは不要なので大人数での旅行の際は特に便利だ。

 

 さて、列車の方は宇治山田駅から鳥羽線に入る。鳥羽線は歴史的経緯から近鉄の中でも比較的新しい路線であり、比較的高速での運転が可能である。丁度、食事が終わるころには鳥羽線の終点の鳥羽駅に到着した。

 鳥羽駅からは志摩線となる。鳥羽駅を発車後、鳥羽水族館ミキモト真珠島が横目に見える。志摩線の方は戦前からの路線を引き継いだという歴史的経緯から至る所に急勾配や急カーブがある。高速走行していた鳥羽線とは大きく異なった雰囲気の路線となる。志摩スペイン村最寄りの鵜方に着くと次は終点の賢島に到着する。

 京都駅から賢島まで約2時間半。車内でくつろぎ、流れゆく景色を眺め、カフェカーで食事をする。本当にあっという間の時間だった。座っていたプレミアムシートはかなり快適でいつまでも座っていたいと思わせてくれるような座席だった。私自身、これまで様々な列車に乗ってきたと思うが、快適さに関しては私がこれまでに乗車した中で一番だと思う。と言いつつも、グリーン車の乗車経験はそこまでないし、グランクラスも乗ったことがないので、貧乏旅が中心の私は比較するデータが少なすぎるようなきもするが…。

 

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株主優待

 加えて、しまかぜの特急料金は安いという点があげられる。近鉄そのものの特急料金が安いということもあり、京都から賢島まで運賃を加えて5680円で利用することができる。ちなみに私は近鉄の株主の沿線招待乗車券を利用したので、実際は更に安く利用している。

 

 観光特急しまかぜ。近鉄の伝統と新しさが上手くミックスされており、近鉄特急史上最高の旅を楽しむことができる。今後のしまかぜの活躍と近鉄特急の躍進に期待したい。

 

※この記事は試験的にいつもとは異なり日記調で書きました。好評であれば、今後の方針として日記調で書いていくことも検討しております。なお、「しまかぜ」に関する記事は従来と同じ書き方で書いた記事も公開することを予定しております。

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